世界文学会

Society of World Literature JAPAN

 2018年度 第三回連続研究会のお知らせ

 2018年度 世界文学会  第三回連続研究会 :『時代と文学』

2018年6月23日(土)14:00~17:45
中央大学駿河台記念館

「20世紀は「ロマン・ガリの世紀」?」 (高頭麻子)

ポーランド系ユダヤ人のロマン・ガリ(1914~1980)は、誕生の数か月後に第1次大戦で流浪の身となり、14歳で母親とフランスに入国、第2次大戦で「自由フランス軍」として戦い、戦後はフランスの外交官として諸国に赴いた。最初の勤務地ブルガリアで共産党による粛清の始まりを目撃し、ニューヨークで新たな国際連合に失望し、キング牧師殺害前後の黒人運動が憎悪の悪循環に過ぎないと感じる。ド・ゴールやケネディなど世界の指導者と付き合い、ハリウッドで映画制作に携わり、2つの名で2度ゴンクール賞に選ばれ、2度の結婚と数々の女性遍歴を重ねながらも孤独は増すばかりだった。20世紀の世界史を体現するような一生だが、ツヴェタン・トドロフは「ロマン・ガリの世紀」に特別の意味を与える。トドロフとは少し異なる側面からもガリにおける「時代と文学」を見てみたい。

発表者訳書:
『待つ女』マリー・ダリュセック、藤原書店、2016、『警察調書(剽窃と世界文学)』マリー・ダリュセック(藤原書店、2013)、『亡霊たちの誕生』マリー・ダリュセック (河出書房新社、1999)、『めす豚ものがたり』マリー・ダリュセック (河出書房新社、1997)、『愛と創造の日記』ナンシyー・ヒューストン (晶文社、1997)、『伴奏者』ニーナ・ベルベーロワ (河出書房新社、1993)。

( 国際アーサー王学会、 総合社会科学会  )

 

「李恢成の世界 : 北も南もわが祖国」(渡邊澄子)

日本生まれ、日本育ちの在日韓国・朝鮮人のアイデンティティ模索の闘い。在日コリアンの帰属は?「韓国人」「半日本人(パンチョッパリ)」「朝鮮人」「チョソンサラム(朝鮮人)」「在日韓国・朝鮮人」、どれも残酷な歴史を背負った呼称だ。南北分断を容認させられてしまう。祖国の統一を悲願とする李恢成文学世界は「チョソン」(朝鮮)「サラム」(人)、「チョソンサラム」として誇り高く生きられる日の到来に向かっての闘いであると括れるかと思う。

発表者著書:
『気骨の作家  松田解子  百年の軌跡』(秋田魁新報社、2014)、『男漱石を女が読む』(世界思想社、2013)、『野上彌生子 人と文学』(勉誠出版、2007)、『林 京子 – 人と文学 “見えない恐怖”の語り部として』(長崎新聞社、2005)、『青鞜の女・尾竹紅吉伝』(不二出版、2001)、『日本近代女性文学論 闇を拓く』(世界思想社、1998)。(新・フェミニズム批評の会、ジェンダー史学会)

 

「旧東ドイツの文学、ボブロフスキーを中心に」(神品芳夫)

旧東ドイツ(ドイツ民主共和国)は四十年間の存在を経て消滅した。この国ではドイツの歴史において初めて社会主義体制の実験が為されたのであるが、上部構造と下部構造との乖離を最後まで埋めることができなかった。しかし実験の遺産は今後の世界にとっても示唆するものが多いと思われる。とりわけ文学における成果は注目に値する。党権力と作家たちとの緊張あるやりとりを背景に、社会主義社会に潜む問題を扱うさまざまな作品が生まれた。本発表では東ドイツの国の成り立ちと文学の主要な流れを概観したあと、詩人ヨハネス・ボブロフスキー(1917-65)を取り上げたい。彼はリトアニアをはじめ東欧の歴史に眼を向け、ドイツ人の過去の侵略行為を謝罪しつつ、サルマチアと彼が名づける東欧地域の人と自然の素朴な魅惑をうたい上げ、民族間の相互理解と融和を提唱した。国内ばかりでなく、周辺国でも評判が高い希有なドイツ詩人である。

発表者著書・訳書:
『リルケ、現代の吟遊詩人』(青土社、2015)、編著『自然詩の系譜―20世紀ドイツ詩の水脈―』(みすず書房、2004)、『リルケ研究』(小沢書店、1972/82)、『詩と自然―ドイツ詩史考―』(小沢書店、1983); ゲーテ『若きヴェルターの悩み』(潮出版社2003『ゲーテ全集』)、共訳『ボブロフスキー詩集』(小沢書店、1994)、ノサック『死神とのインタヴュー』(岩波文庫、1987)、リルケ『マルテの手記』(学研『世界文学全集』、1978)。

(日本独文学会、日本詩人クラブ)

 

開催日時:2018年6月23日(土)14:00~17:45
開催場所:中央大学駿河台記念館 (千代田区神田駿河台3-11-5 TEL 03-3292-3111)

世界文学会では、統一テーマのもと、12月から翌年の7月にかけて連続研究会を4回行っています。ご関心のある方は、会員外の方でもどうぞご自由にご参加ください。会員外の方には資料代として500円を承ります。

JR中央・総武線 御茶ノ水駅下車、徒歩3分

JR中央・総武線
御茶ノ水駅下車、徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線
御茶ノ水駅下車、徒歩6分
東京メトロ千代田線
新御茶ノ水駅下車(B1出口)、徒歩3分
都営地下鉄新宿線
小川町駅下車(B5出口)、徒歩5分

中央大学駿河台記念館地図

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