世界文学会

Society of World Literature JAPAN

2018年度 第二回連続研究会のお知らせ

2018年度 世界文学会 第二回連続研究会:『時代と文学』

2018年4月21日(土)14:00 ~ 17:45
中央大学駿河台記念館

「中国建国前の文芸 ー 形成過程をめぐって」( 葉 紅 )

文芸に政治的メッセージ性が要求され、同時に労農兵のためでなければならないという状況がいかにして形成されたかを考える。1917年の雑誌『新青年』に掲載された胡適の「文学改良芻議」に遡り、国共対立中の言語階級論台頭に触れ、毛沢東の「農村から都市を包囲する」戦略に取り込まれていった文学のあり方に言及する。文芸が時代に求められ、マッチングされていく一端を明らかにしたい。

発表者著書・訳書:
『为了你的夸奖』高倉健 (广州出版社、1996)、「道聴塗説」裘山山『中国現代文学 11号』(ひつじ書房、2013 )、「狡猾な父親」姚鄂梅『中国現代文学 14号』(ひつじ書房、2015 )、「信念の人ー蕭乾」(駿河台大学論叢53号、2016)、「蕭乾・文潔若訳の『ユリシーズ』」(駿河台大学論叢54号、2017)、『ステップアップ対話で楽しむ中国語』(駿河台出版社、2013)、『本気でトライ!中国語』(駿河台出版社、2017)

(中国文学翻訳会、日中文化交流協会)

 

「ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』と記憶/トラウマ論再考の可能性」( 大田信良)

第1次大戦後あるいはその「終わりの感覚」・経験を時代的・歴史的契機として、ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』(1925)は、トルコによるアルメニア人へのジェノサイドとみなしうる言説を、国際政治の関係においてそれと交錯するアルバニア人の表象とともに、きわめて断片的かつ徴候的なやり方で、提示している。英米モダニズム文学におけるこのジェノサイドの問題をラディカルに取り上げた1990年代・ゼロ年代の研究をふまえつつ、本発表は、その記憶/トラウマの観点による解釈を、地政学の空間によって再考する可能性を探ることにより、21世紀現在のリベラルな人道主義を問題化の作業を進めたい。

発表者著書:
Locating Woolf: The Politics of Space and Place.(Palgrave Macmillan、2007), 『帝国の文化とリベラル・イングランド――戦間期イギリスのモダニティ』(慶應義塾大学出版会、2010),『ポスト・ヘリテージ映画――サッチャリズムの英国と帝国アメリカ』(上智大学出版、2010),『文学研究のマニフェスト――ポスト理論・歴史主義の英米文学批評入門』(研究社、2012)

(日本英文学会、北米ブリティッシュ・スタディーズ学会)

 

「ドイツ表現主義を巡って 」(酒井 府)

先ず、表現主義と言う概念が最初に用いられたのは、何時、何に用いられたのかについて幾つかの例を挙げて語り、その範疇にはどのような芸術家、詩人、作家達が属したのかを話題として提供したい。それは、広義の意味での、即ち時代様式を超えるものとしての表現主義である事を述べ、それはどの様なものであったのかを明らかにしたい。

更に、時代を遡り、国境を越えた芸術にも広義の意味での表現主義の概念が適用出来る事を中世の芸術、原始的民族をも含めた諸民族の芸術をも具体的に挙げて語りたい。

その上で、狭義の意味での、即ち、時代様式を表すものとしての表現主義の鏑矢に付いて語り、それは、何を主要目的にしたのか、そしてそれは如何に受け継がられて行ったのかを明らかにしたい。また、その芸術家、詩人、劇作家、文学者にはどのような人々がいたのか、その作品はどの様なものであったのかに触れたい。しかし、そうなると、短時間ではとても語り切れないので、時間の許す限り、語れる所迄、語りたい。

発表者著書・訳書:
『ドイツ表現主義と日本』(早稲田大学出版部、2003)
『アンネ・フランク 最後の七ヶ月』ウイリー・リントヴェル (徳間書房、1991)

 

開催日時:2018年4月21日(土)14:00~17:45
開催場所:中央大学駿河台記念館 (千代田区神田駿河台3-11-5 TEL 03-3292-3111)

世界文学会では、統一テーマのもと、12月から翌年の7月にかけて連続研究会を4回行っています。ご関心のある方は、会員外の方でもどうぞご自由にご参加ください。会員外の方には資料代として500円を承ります。

JR中央・総武線 御茶ノ水駅下車、徒歩3分

JR中央・総武線
御茶ノ水駅下車、徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線
御茶ノ水駅下車、徒歩6分
東京メトロ千代田線
新御茶ノ水駅下車(B1出口)、徒歩3分
都営地下鉄新宿線
小川町駅下車(B5出口)、徒歩5分

中央大学駿河台記念館地図

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